1変数の常微分方程式。軌道は数直線上の点の流れとして表現。
| 概念 | 定義・条件 | 意味 |
|---|---|---|
| 固定点 x* | f(x*) = 0 | 時間発展しない点 |
| 安定 | f'(x*) < 0 | 近傍の軌道が収束 |
| 不安定 | f'(x*) > 0 | 近傍の軌道が発散 |
| 半安定 | f'(x*) = 0 | 片側から安定、片側から不安定 |
分岐(bifurcation):パラメータの変化により、系の定性的な振る舞いが変化する現象。
r < 0: 2固定点(安定・不安定)
r = 0: 合流して消滅
r > 0: 固定点なし
固定点の生成・消滅
x* = 0 と x* = r が
r = 0 で交差し、
安定性を交換
固定点は消滅しない
r < 0: x* = 0 のみ(安定)
r > 0: x* = 0(不安定)
x* = ±√r(安定)
対称性のある系
r < 0: x* = ±√|r|(不安定)
r > 0: x* = 0(不安定のみ)
危険!突然のジャンプ
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| 実線 | 安定固定点の軌跡 |
| 破線 | 不安定固定点の軌跡 |
| 分岐点 | 線が合流・分岐する点 |
または行列形式(線形系):ẋ = Ax
固定点 (x*, y*) でのヤコビ行列:
固有値 λ1, λ2 を求める:det(J - λI) = 0
| 固定点の種類 | 固有値の条件 | τ, Δ の条件 | 安定性 |
|---|---|---|---|
| 安定ノード | λ₁, λ₂ < 0 (実数) | τ < 0, Δ > 0, τ² > 4Δ | 漸近安定 |
| 不安定ノード | λ₁, λ₂ > 0 (実数) | τ > 0, Δ > 0, τ² > 4Δ | 不安定 |
| 安定スパイラル | Re(λ) < 0 (複素) | τ < 0, τ² < 4Δ | 漸近安定 |
| 不安定スパイラル | Re(λ) > 0 (複素) | τ > 0, τ² < 4Δ | 不安定 |
| サドル点 | λ₁ < 0 < λ₂ | Δ < 0 | 不安定 |
| 中心点 (Center) | 純虚数 ±iω | τ = 0, Δ > 0 | 安定(非漸近的) |
孤立した閉軌道。近傍の軌道が渦巻きながら近づく(または離れる)。
平面上の有界な領域 R に閉じ込められた軌道で、R 内に固定点を含まないものは、 リミットサイクルに漸近する(または自身がリミットサイクル)。
→ 2次元連続系ではカオスは起きない
単連結領域 D で ∂(ρf)/∂x + ∂(ρg)/∂y が符号一定(≠0)ならば、D 内に閉軌道は存在しない。
ρ(x,y) は適当な正の関数(Dulac関数)。
| 対象 | 指数 |
|---|---|
| ノード、スパイラル、中心点 | +1 |
| サドル点 | -1 |
| 閉曲線内の指数の和 | 閉曲線の指数 |
| リミットサイクル内 | 必ず +1 |
1次元と同様に、サドルノード、トランスクリティカル、ピッチフォーク分岐が起こりうる。
固定点からリミットサイクルが生まれる分岐。
μ < 0: 安定スパイラル
μ = 0: 分岐点
μ > 0: 不安定スパイラル + 安定リミットサイクル
ソフトな遷移
μ < 0: 安定スパイラル + 不安定サイクル
μ = 0: 分岐点
μ > 0: 不安定スパイラル
突然のジャンプ(ハード遷移)
2つのリミットサイクル(安定・不安定)が合流して消滅
Hopf分岐の閉軌道版
リミットサイクルがサドル点に接触
周期 T → ∞(対数的発散)
サイクルがサドルの「ループ」に
Saddle-Node on Invariant Circle
周期 T ∝ 1/√|μ - μ_c|
ボトルネック効果
リミットサイクルが複数のサドル点を結ぶ軌道に
まれだが重要
| 分岐の種類 | 周期 T の発散 |
|---|---|
| SNIPER (SNIC) | T ∝ 1/√|μ - μ_c| |
| ホモクリニック | T ∝ -ln|μ - μ_c| |
| Hopf | T → 2π/ω(有限) |
亜臨界分岐やサドルノード分岐を含む系では、パラメータを上げるときと下げるときで異なる経路をたどる。
例:ジョセフソン接合(8.5節)
| 条件 | 結果 |
|---|---|
| |f'(x*)| < 1 | 安定 |
| |f'(x*)| > 1 | 不安定 |
| |f'(x*)| = 1 | 臨界(分岐点) |
f を n 回合成した写像 fn の固定点。安定条件:
| r の範囲 | 振る舞い |
|---|---|
| 0 < r < 1 | 絶滅(x → 0) |
| 1 < r < 3 | 固定点 x* = (r-1)/r に収束 |
| 3 < r < 3.449... | 周期2軌道 |
| 3.449... < r < 3.5699... | 周期 2n(周期倍分岐カスケード) |
| r > r∞ ≈ 3.5699... | カオス(周期窓あり) |
この定数は普遍的:すべての単峰写像(unimodal map)で同じ値。
繰り込み群の考え方で説明される(10.7節)。
| λ の値 | 意味 |
|---|---|
| λ < 0 | 周期的アトラクター |
| λ = 0 | 分岐点、準周期 |
| λ > 0 | カオス(初期値鋭敏性) |
f が C1 級ならば、初期値問題 ẋ = f(x), x(0) = x₀ の解は局所的に存在し一意。
帰結:軌道は交差しない。
双曲型固定点(Re(λ) ≠ 0)の近傍では、非線形系の軌道は線形化 ẋ = Jx の軌道と位相的に同値。
意味:線形化で固定点の定性的な振る舞いがわかる。
注意:中心点(Re(λ) = 0)には適用不可。
平面上の閉じた有界領域 R に閉じ込められた軌道が R 内に固定点を含まないとき、その軌道はリミットサイクルに漸近するか、自身がリミットサイクル。
帰結:2次元連続系ではカオスは起きない。
単連結領域 D で div(ρF) = ∂(ρf)/∂x + ∂(ρg)/∂y が符号一定(≠0)ならば、D 内に閉軌道は存在しない。
使い方:適切な ρ(x,y) > 0 を見つける。
固定点 x* の近傍で V(x) > 0 (x ≠ x*), V(x*) = 0, V̇ ≤ 0 を満たす関数 V が存在するなら、x* は安定。 V̇ < 0 なら漸近安定。
閉曲線 C が固定点を含まないとき、C の指数は C 内部の全固定点の指数の和に等しい。
帰結:リミットサイクル内には指数の合計が +1 になる固定点がある。
パラメータ μ の変化で固有値 λ(μ) = α(μ) ± iω(μ) が虚軸を横切るとき(α(0) = 0, dα/dμ ≠ 0, ω(0) ≠ 0)、 固定点からリミットサイクルが分岐する。
| Δ > 0 | Δ < 0 | |||
| τ < 0 | τ² > 4Δ: 安定ノード | τ² < 4Δ: 安定スパイラル | サドル点 | |
| τ = 0 | 中心点 または 分岐点 | |||
| τ > 0 | τ² > 4Δ: 不安定ノード | τ² < 4Δ: 不安定スパイラル | ||
| 分岐 | 次元 | 何が起こるか | 標準形 |
|---|---|---|---|
| サドルノード | 1D/2D | 固定点の生成・消滅 | ẋ = r + x² |
| トランスクリティカル | 1D/2D | 固定点の安定性交換 | ẋ = rx - x² |
| ピッチフォーク | 1D/2D | 対称性破れ | ẋ = rx ∓ x³ |
| Hopf | 2D | 固定点→リミットサイクル | ṙ = μr - r³ |
| ホモクリニック | 2D | サイクル→サドルループ | (大域的) |
| SNIPER | 2D | 円上のサドルノード | θ̇ = μ - sin θ |
| 周期倍分岐 | 写像 | 周期n → 周期2n | ロジスティック写像 |
周期2 → 4 → 8 → ... → カオス
Feigenbaum定数 δ ≈ 4.669...
例:ロジスティック写像
トーラス上の準周期運動 → カオス
Ruelle-Takens-Newhouse シナリオ
例:結合振動子
規則的な運動にカオス的バーストが混入
タイプI, II, III 間欠性
例:ローレンツ系
| 章 | 内容 | キーワード |
|---|---|---|
| 2章 | 1次元の流れ | 固定点、安定性、ポテンシャル |
| 3章 | 1次元の分岐 | サドルノード、トランスクリティカル、ピッチフォーク |
| 4章 | 円上の流れ | 振動子、同期、位相ロック |
| 5章 | 2次元線形系 | 固有値、固定点分類 |
| 6章 | 2次元の相平面 | ヌルクライン、多様体、Hartman-Grobman |
| 7章 | リミットサイクル | Poincaré-Bendixson、Bendixson-Dulac、Liapunov |
| 8章 | 2次元の分岐 | Hopf、ホモクリニック、SNIPER、ジョセフソン |
| 9章 | ローレンツ方程式 | 3次元、ストレンジアトラクター |
| 10章 | 1次元写像 | ロジスティック、Feigenbaum、カオス |
| 11章 | フラクタル | 次元、自己相似性、カントール集合 |
| 12章 | ストレンジアトラクター | エノン、ローレンツ、次元 |